体K上の楕円曲線とは、種数1の、K上非特異射影代数曲線(とK上の点の対)のことを言います。
スキームS上の楕円曲線とは、properかつ平坦な有限射p:C→Sで、切断e:S→Cを持ち、任意のpの幾何fiberが前の定義の楕円曲線になるもののことを言います。
楕円曲線のような代数幾何的な対象を分類するためには、一般にmoduli問題を考えます。この場合、関手F:Aff^op→Sets、Spec(R)→{Spec(R)上楕円曲線の同型類の集合}のことになります。
今、Fが表現可能、即ちあるスキームMにより表現可能と仮定すると、以下の同型が存在するということになります:
[katex]\text{Hom}(\text{Spec}(R),M)\cong F(\text{Spec}(R)) = \{ \text{isom class of elliptic curve }C\to \text{Spec}(R) \}[/katex]
、ただしSpec(R)は任意のaffineスキームです。この場合、自己への射Hom(M,M)はM上の楕円曲線、即ちuniversalであると言います。
ところが、楕円曲線の自己同型群は非自明であり、この自然な同型は存在しません。さらに、Fはスキームによって表現されません。楕円曲線に関するmoduli問題は全く簡単ではありません。
楕円曲線に関するより正しい問題の立て方は、Fを楕円曲線のstackとみなすこと、即ちFを、F:Aff^op→Groupoidsとみなすことです。この場合、AffineスキームSpec(R)に対し、F(Spec(R))はSpec(R)上の楕円曲線のgroupoidとなります。
M_ellをSpec(Z)の楕円曲線のmoduli stackを表すことにします。
[katex]\mathcal{M}_{\overline{ell}}[/katex] で、一般楕円曲線のmoduli stackを表すことにします。一般楕円曲線とは、p:C→Sのfiberがnodal singularityを持つことを許し、切断eはfiberのなめらかなlocasに含まれていると定義されます。このstackはM_ellのDeligne-Mumfordコンパクト化と呼ばれています。
さらに、[katex]\mathcal{M}^+_{\overline{ell}}[/katex] を、Weierstrass楕円曲線のmoduli stackとします。即ち、切断に関係なく、fiberがcuspを持つことを許したものです。
このとき、open substackとしての埋め込み [katex]\mathcal{M}_{ell}\to \mathcal{M}_{\overline{ell}} \to \mathcal{M}^+_{\overline{ell}}[/katex] が存在します。
参考文献:
Johan Konter, The homotopy groups of the spectrum Tmf