The ∞-Category of pointed spaces
定義(T.1.2.16.1)
基点付き単体圏 Kan∗ を (SetΔ)∗ の基点付きKan複体からなる充満部分圏とする。このとき、S∗=N(Kan∗) を基点付き空間の∞-圏と定義する。
Kan∗ の任意の対象の対 X,Y に対し、基点付き単体集合 MapKan∗(X,Y)=YX はKan複体なので、S∗ は ∞-圏になります。
Spectrum object
ここでは極限と余極限を持つ任意の ∞-圏に対し、C のスペクトラム対象から成る安定 ∞-圏 Sp(C) が構成します。
特に、C を空間の ∞-圏とした場合は、古典安定ホモトピー論になります。
定義(S.8.1)
Let C be an ∞-圏とする。A prespectrum object of C のprespectrum対象とは以下の条件を満たす関手 X:N(Z×Z)→C のこと:
任意の整数対 i=j に対し、値 X(i,j) は C の零対象。
C のprespectrumから成る Fun(N(Z×Z),C) の充満部分圏を PSp(C) と表す。
任意の整数 n に対し、(n,n)∈Z×Z 上の値は関手 PSp(C)→C を誘導する。この関手をn番目空間関手とよび、 ΩC∞−n と表す。
X を ∞-圏 C のprespectrum対象とします。
i=j のときの対象 X(i,j)∈C は零対象なので、それらを無視した残りの対象 X(n,n)∈C は対角線上に残ります。これらの対象 X(n,n)=ΩC∞−nX を X[n] と表します。
任意の n≥0 に対し、図式
[katex display=true]\begin{CD}
@. X(n, n) @>>> X(n, n+1) \\
@. @VVV @VVV \\
@. X(n+1, n) @>>> X(n+1, n+1)
\end{CD}[/katex]
から以下の(随伴)写像の対が得られます
α:ΣCX[n]→X[n+1] β:X[n]→ΩCX[n+1].
定義(S.8.4)
X を起点付き ∞-圏 C のprespectrum対象とし、 n を整数とする。
X が n 以下でspectrumであるとは、自然な写像 β:X[m−1]→ΩCX[m] が任意の m≤n に対し同型となること。
X が n 以上で懸垂prespectrumであるとは、自然な写像 α:ΣCX[m]→X[m+1] が任意の m≥n に対して同型となること。
X が n-懸垂prespectrumであるとは、n 以上で懸垂prespectrum かつ n 以下でspectrumとなること。
X がspectrum対象であるとは、任意のn に対して、n 以下でspectrum対象となること。
Sp(C) でCのspectrum対象から成る PSp(C) の充満部分圏を表す。
C を任意の ∞-圏とするとき、Stab(C)=Sp(C∗) と定義する。ここで C∗ は C の起点付き対象から成る ∞-圏とする。Stab(C) は C のstabilizationと呼ぶ。
C が良い ∞-圏であればそのspectrum対象から成る圏は安定的になります。
命題(S.8.27)
C を極限と余極限を持つ起点付き ∞-圏とする。このとき、
-
任意の対象 X∈Sp(C) に対し、自然な写像 X→ΩSp(C)S(X) は同型。
-
∞-圏 Sp(C) は安定。
The ∞-Category of Spectra
ここでは恐らく安定 ∞-圏の最も重要な例となる、spectrumの ∞-圏を導入します。
古典homotopy論では、spectrumは起点付き空間の列 {Xn}n≥0 で、homotopy同型(又は同相)Xn→Ω(Xn+1) for all n≥0 を持つものとして定義されます。
これはすぐさま ∞-圏に言い換えられます:
定義(S.9.1)
spectrum とは起点付き空間の S∗ の ∞-圏 のspectrum対象をいう。
Sp=Sp(S∗)=Stab(S)
でspectraの ∞-圏を表す。
命題(S.9.2)
-
∞-圏 Sp は安定。
-
(Sp)≤−1 をΩ∞(X)∈S が可縮となるような対象 X からなる Sp の充満部分圏とする。このとき (Sp)≤−1 は Sp 上のaccessible t-structureを持つ。
-
Sp 上のt-structureは左完全かつ右完全であり、そのheart S∞♡ はアーベル群の圏(のnerve)への自然な同型を持つ。
参考文献:
Lurie, J. Derived Algebraic Geometry I: Stable ∞-Categories.

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